デジタル社会の形成
当社の長期的にめざす姿「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」に向けて、デジタル技術を駆使した金融・非金融サービスを通じて、地域のお客さまに新たな体験・価値を届けるとともに、高度なデジタルソリューションの提供により事業成長を支援することで、地域社会の持続的な発展に貢献していきます。
デジタル戦略
デジタル社会が急速に進むなか、ありとあらゆる情報がデータ化されてつながり、その情報を活用することによりさまざまな利便性を享受して暮らしています。
当社グループはこうした社会を最大限に活用し、お客さまに寄りそった1to1コミュニケーションによる最適な提案をおこなってまいります。また、ソリューションサービスの高度化やキャッシュレス決済の促進によるお客さまの利便性向上、デジタル化の支援、サービス提供をおこなうための人財育成に継続的に取り組んでいくことにより、新しいお客さま体験を創出していきます。
デジタル・トランスフォーメーションの推進状況
横浜銀行の取り組み
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東日本銀行の取り組み
2022年12月に法人ポータル(ビジネスコネクト)を導入しました。また、RPAを活用した行内の業務効率化推進やお客さまへのIB(インターネットバンキング)の推進をおこなっています。
店頭業務のデジタル・トランスフォーメーション
次世代型店舗への移行
横浜銀行は、「クイックカウンタATM」によりお客さま自身が横浜銀行職員のサポートを受けてキャッシュカードによる入出金などをおこなう「セミセルフ窓口」を、2024年3月末までに77店舗に導入しました。今後もさらなる店頭業務の効率化とお客さまの利便性向上に向けて、本窓口の導入を進めるとともに、TV窓口の設置、次世代型営業店タブレット端末「AGENT」の高度化など次世代型店舗への移行を進めていきます。
「AGENT」では、主要取引(口座開設、住所変更、相続受付など)の開発を終え、機能改善や取引量が多いものを中心に内製化開発を進めています。2023年10月には、普通預金口座のICキャッシュカードの新規発行機能を実装しました。
また、2023年2月より5店舗で開始したテレビ窓口による相続のお手続きは、順次運用拡大をおこない、本部専門部署によるきめ細かいサービスの提供に取り組んでいます。
来店予約サービスの導入
横浜銀行は2023年4月に、「来店予約サービス」を全店に導入しました。本サービスは、普通預金の口座開設やお届け内容・お届け印の変更などのお取引について、スマートフォンやパソコンで横浜銀行のホームページから原則24時間365日、ご来店日時を予約することができるサービスです。予約されたお客さまは来店時に優先してお手続きいただけます。横浜銀行は本サービスの導入を通じて、お客さまの来店時の待ち時間短縮をはかっています。
非対面取引の拡大
横浜銀行は住所変更、税金・各種料金の払込み、お振込み、口座開設を中心に非対面取引の拡大を進めており、2024年3月から相続発生の届け出のお手続きをウェブサイトから受付が可能となりました。
非対面サービスのデジタル・トランスフォーメーション
スマートフォンアプリ「はまぎん365」の利便性向上による顧客接点の拡大
横浜銀行が個人のお客さま向けに展開するスマートフォンアプリ「はまぎん365」は、メインチャネルとしての存在感を強め、 2025年6月末時点で利用者数141万人を突破しました。2024年度には、住宅ローンや各種ローンの借入残高・契約内容の確認機能、決済アプリ「はまPay」とのシームレスな連携といったバンキング機能を強化。さらに、投資信託取引や家計簿アプリへの導線も最適化し、より一層の利便性を追求しました。2025年度以降は、はまぎん365限定定期預金や、AIを活用し、気軽に相談ができるチャット機能の実装を予定しています。今後も「はまぎん365」をお客さまとの重要なタッチポイントと位置付け、最先端のソリューションを提供するとともに、お客さま本位のサービスを追求していきます。
法人のお客さまへの非対面機能「ビジネスコネクト」の提供
横浜銀行は、お客さまの利便性向上とデジタルコミュニケーション強化を目的とした非対面サービスとして、法人向け会員制ポータルサイト「〈はまぎん〉ビジネスコネクト」を提供しています。インターネットバンキングへのログイン機能の統合や、各種取引のオンライン完結、「お知らせ」機能によるお客さまへの情報提供などを通じて、2025年3月末時点で5.2万社の法人のお客さまにご利用いただいています。今後もさらなる機能拡充を通じて、総合取引の拡大をめざしていきます。
なお、東日本銀行においても、2022年12月から「東日本ビジネスコネクト」の取り扱いを開始しています。
地域社会のキャッシュレスの促進
横浜銀行は、スマホ決済サービス「はまPay」を通じて、2022年10月から多頻度小口決済のための新たな決済インフラ「ことら送金」に参加し、10万円以下の個人あて送金を手数料無料でご利用いただける「ことら送金サービス」の提供を開始しました。
また、「はまPay」では2023年4月から「請求書払い」において、固定資産税・自動車税等の税公金を納付できる「ことら税公金」の取り扱いを開始しています。

お客さま・地域とともに進めるデジタル・トランスフォーメーション
デジタル化支援
横浜銀行は、デジタルを通じたお客さまの業務効率化や生産性向上のサポート、各法制度対応など、デジタル化支援の強化をはかっています。
お客さまのデジタル化への課題を把握し、本部との情報共有やグループ機能連携、情報処理サービスやクラウド型労務・人事システムなど約60社のデジタル系企業と連携しながら最適なソリューションの提案・提供をおこなっています。
ビジネスマッチングのみならず、DXに関わる複合的な課題にはグループ機能を活用した浜銀総合研究所によるコンサルティングに加え、銀行本体によるクラウド型システム導入時の「導入支援サービス」の提供を実施し、経営の課題解決のサポートにも注力しています。
生産性向上を支える銀行業務へのAI活用事例
自動生成AI 『行内ChatGPT』の業務活用
横浜銀行および東日本銀行は、人工知能(自動生成AI)を活用した従業員専用の情報分析プラットフォーム「行内ChatGPT」を2023年11月に導入しました。
行内ChatGPTは、一般的な「ChatGPT」の機能に加え、両行における各種規程やマニュアルなど行内情報の照会に対応できる機能を備えています。
- 従業員は文書作成などの業務の効率化*をはかりながら、より高度な業務や新たな業務に集中することができます。
- *一般的に文書作成業務などにおいて「ChatGPT」を利用した場合、利用しない場合に比べ、作業時間を37%削減することができると言われています。
融資稟議書作成支援AIの実装に向けて
業員の業務効率化、および審査スキル向上の観点から有用性を確認できました。自動生成AIが融資稟議作成を支援することで、最大で年間19,500時間の業務効率化が見込まれます。加えて与信判断に必要な審査項目について、お客さまへのヒアリングが不足している点を明確にできるといった効果も確認できました。
従業員は生成AIを活用した融資審査を通じて、どのような情報をお客さまから聞き取るべきかという「気づき」を得ることができ、この「気づき」によって、従業員の審査スキルが効果的に向上することも期待できます。今回の実証実験で確認したポイントや課題を整理し、実装化をめざして取り組んでいきます。本システムの実装化により、お客さまの多種多様なニーズに応えるとともに、より生産性の高い働き方を実現することで、地域社会の持続的な発展に貢献していきます。
自動生成AIによるお客さまとの応接記録簿の検証業務の効率化
横浜銀行は、投資信託などの販売におけるお客さまとの応接記録簿の検証業務について、「行内ChatGPT」を活用し、経験の浅い管理者の業務の補助、および負担軽減による業務の効率化を実現しました。本システムによる業務効率化で、従来の業務の約20%を削減できました。捻出した時間を渉外活動に充てることにより、お客さまとのリレーション強化にさらなる磨きをかけていきます。
生産性向上を支えるITデジタル基盤の強化
イントラネットの刷新
横浜銀行および東日本銀行は、新中期経営計画の重点戦略の1つである「生産性向上」を実現するため、ITデジタル基盤の刷新と最適化を積極的に進めています。この一環として、行内業務の効率化を目的に、イントラネットの全面的な刷新を実施しました。刷新後のイントラネットでは、行内端末の大幅な性能向上を実現し、業務スピードの向上とストレスフリーな操作性を提供します。これにより、従業員一人ひとりの業務効率が向上し、生産性の高い業務環境を実現しています。また、セキュリティ対策として新たにSASE(Secure Access Service Edge)を導入しました。この最新のセキュリティフレームワークにより、行内外を問わず高い安全性を確保しつつ、クラウドサービスの活用を通じた業務改革の可能性を広げています。これらの取り組みを通じて、ITデジタル基盤を生産性向上の強力な土台とし、従業員がより付加価値の高い業務に注力できる環境を整えることで、グループ全体の生産性向上に努めていきます。
営業・融資サポートシステムの導入
横浜銀行および東日本銀行は、渉外業務改革を実現する次世代SFA・CRM/融資審査システムである「営業・融資サポートシステム」を2024年1月に導入しました。本システムは、2025年5月よりMEJAR5行による共同利用をおこなっています。本システムの導入により、多くの業務で効率化が実現できる見込みであり、削減した時間を渉外活動に充てることにより、お客さまとのリレーション強化にさらなる磨きをかけていきます。
生産性向上に向けたAI導入・拡大のための体制強化
横浜銀行は、生産性向上を推進するため、AI技術を積極的に活用し、その効果を最大限に引き出すことをめざしています。これを実現するため、2025年4月にITソリューション部内に「イノベーション推進グループ」を新設しました。同グループは、AI導入を加速するためのガバナンス体制の整備や、銀行業務の効率化を目的としたAIの開発・運用を担い、業務プロセスの革新と競争力の向上に貢献します。この取り組みにより、持続可能な成長を支える基盤をさらに強化していきます。
銀行内におけるシステム内製開発の加速
横浜銀行では、システムの内製開発体制を強化し、「はまぎん365」の追加機能や営業店タブレット端末「AGENT」の機能追加、お客さま向けWEBサービスの拡充を推進しています。従来のように外部のシステム会社に開発を委託する方法では、お客さまの多様なニーズや急速に進化するデジタル技術に迅速に対応することが難しい状況がありました。内製化を進めることで、開発スピードを向上させるとともに、利便性の高いサービスをより早くお客さまにお届けすることが可能になります。これにより、より良いサービスの提供を通じて、お客さま満足度のさらなる向上をめざしています。
横浜銀行は、全従業員のAIリテラシーを向上させ、デジタル時代に対応した組織の進化を実現するため、実用的かつ柔軟な教育プログラムを展開しています。AIの基礎知識や実務での活用方法を従業員が理解しやすい形で学べる環境を整備するため、動画配信による教育コンテンツの提供や地域エリアごとの勉強会を通じた従業員同士の学び合いを促進しています。また、本部各部門に生成AI推進担当を設置し、生成AI利活用定例会を開催することで、現場でのAI活用事例の共有や新たなアイデアの創出を支援しています。さらに、専門人財の育成にも注力し、プロジェクトマネージャー、サイバーセキュリティ、AI開発などのスキルを持つ高度専門人財の採用・育成を推進しています。これにより、銀行業務の効率化や顧客サービスの向上に直結するAIソリューションの企画・開発を加速させています。これらの取り組みを通じ、全従業員がAIを適切に理解し活用できる組織をめざすとともに、IT・デジタル専門人財をさらに拡充し、生産性向上とお客さまへの新たな価値提供を実現していきます。