環境の保全・保護(TCFD・TNFDへの対応)

当社グループにとって「環境の保全・保護」は重要な責務であり、「気候変動」と「自然」は相互に密接に関連するものであると認識しています。当社グループは、2019年12月にTCFD( 気候関連財務情報開示タスクフォース)*1提言に賛同し、2024年2月にTNFD(自然関連財務情報タスクフォース)*2フォーラムに参画して以降、それぞれの開示フレームワークにもとづいて、「気候変動」と「自然」に関する当社グループの考え方およびアプローチについて統合的に情報開示しています。
また、「移行計画」の策定・開示の重要性が認識されるなか、2025年度は、環境省が実施する「令和7年度脱炭素社会実現に向けた移行計画策定支援実践プログラム( 地域金融機関向け)」に参画し、「移行計画」の策定に着手しました。
今後は、脱炭素社会への移行と企業価値向上の両立に向けて、「移行計画」と全社的な戦略・方針との関係を整理し、「移行計画」の策定および開示を進めていきます。

  • *1
    TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候関連の情報開示を企業へ促す民間主導のタスクフォース。
  • *2
    TNFD(Task Force on Nature-related Financial Disclosures ):2021年6月に発足した自然関連の情報開示を企業へ促す民間主導のタスクフォース。
(左右にスワイプできます)
気候 自然
ガバナンス
  • 代表取締役社長を委員長とするグループサステナビリティ委員会において、気候変動や自然関連の課題を含むサステナビリティに関する重要な事項等について審議するとともに、取組方針に基づいてアクションプランを策定し、進捗状況等を管理しています。
  • 先住民族や地域社会および影響を受けるステークホルダーの人権を尊重することをグループ人権方針やセクターポリシーにて定めています。
リンク管理(リスクとインパクト管理)
  • 気候変動に関するリスクならびに自然関連のリスクとして「大規模な自然災害の発生」を「トップリスク」に選定し、当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性の高いリスクイベントとして認識しています。
  • 環境・社会に配慮した投融資の取組方針として「セクターポリシー」を制定しています。環境・社会に対し正の影響を与える資金使途の投融資に積極的に取り組む一方で、負の影響を助長する可能性が高い資金使途の投融資については、投融資判断を慎重におこない、環境・社会への負の影響を低減・回避するよう努めています。
戦略
  • 気候変動に伴う「移行リスク」および「物理的リスク」についてシナリオ分析を実施しています(リスク)。
  • お客さまのサステナビリティ経営支援の担い手となる人財を育成し、エンゲージメントを通じて、お客さまの脱炭素に向けた取り組みフェーズに応じた最適なソリューションを提供しています(機会)。
  • 自然関連の取り組みを個別に捉えるのではなく、環境課題相互のつながりを踏まえ、統合的な取り組みを推進しています。
  • お客さまの事業における自然資本への依存度および影響度の分析を進め、ネイチャーポジティブの実現に向けた取り組みを支援しています。
  • グループ環境方針にもとづき、自社および地域社会における環境負荷の低減に取り組んでいます。
指標と目標
  • 2030年度までのサステナブルファイナンス実行額(累計)4兆円(うち、環境分野ファイナンス2兆円)
  • 2030年度までのカーボンニュートラル(Scope1および2)の実現
  • 投融資ポートフォリオのGHG排出量の2050年ネットゼロおよび目標設定セクターでの2030年度中間目標の達成
  • 紙・廃プラスチック・廃棄物のリサイクル率、紙のグリーン購入比率、エネルギー使用量削減率に関する目標の達成

ガバナンス

リスク管理

当社グループは、子会社ごとにリスクの統括部署およびリスク種類ごとにリスク管理部署を設置し、リスクを識別・評価・管理するとともに、持株会社のリスク管理部がグループ全体のリスクを統合的に管理し、監査部長とは異なるリスク担当役員がリスクの状況について代表取締役社長、取締役会へ定期的に報告をしています。また、サステナビリティにかかる事項に関しては、別途グループサステナビリティ委員会にて審議し、稟議内容を取締役会へ報告しています。
なお、サステナビリティに関するリスクは、発現に至る時間軸が長期に及ぶことや、影響の不確実性が高いこと、また複数のリスクカテゴリーにまたがって波及する等の特性を有しています。このような特性を踏まえ、当社グループでは、「サステナビリティ関連リスク管理の基本方針」を制定し、サステナビリティ関連リスクの識別・評価・管理をおこなっています。選定したサステナビリティ関連リスクについては、トップリスク選定時のリスクイベントとしても考慮しています。
また、サステナビリティに関する機会について、中期経営計画(2025年度~2027年度)の中で、マテリアリティごとに識別・評価し、KPIを設定したうえで、具体的な取り組みをおこなっています。KPIの進捗状況は定期的に取締役会に報告しており、必要に応じて取締役会がフォローアップをおこなっています。

トップリスク

当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクイベント(リスク事象)について、その影響度と蓋然性にもとづきリスクイベントの重要度を判定し、最も注意すべきと認識したリスクイベントを「トップリスク」として取締役会で選定しています。「トップリスク」については、KRI(Key Risk Indicator )を設定し、モニタリングを継続的におこなうことにより予兆の把握に努め、リスクが顕在化した場合には、機動的に対応できるよう態勢を整備しており、気候変動等のサステナビリティに関するリスクも「トップリスク」に位置づけています。
引き続き、総合的リスク管理の枠組みで管理できる体制の構築に取り組んでいきます。

セクターポリシー

当社グループは、環境・社会に配慮した投融資の取組方針として「セクターポリシー」を制定しています。「セクターポリシー」では、負の影響を助長する可能性が高い資金使途の投融資に関して、セクター横断的に投融資を禁止する事業、セクター横断的に投融資に留意が必要な事業、特定セクターへの取組方針等を定め、環境・社会への負の影響を低減・回避するよう努めています。
なお、「セクターポリシー」はグループサステナビリティ委員会にて定期的に見直し要否を協議するほか、自社の事業活動や外部環境の変化等に応じて随時見直しを実施しています。

セクターポリシーの概要

当社グループは、取引を通じて環境・社会に対し正の影響を与える資金使途の投融資に関して積極的に取り組みます。また、環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高い資金使途の投融資に関し、慎重に取引を判断することで、環境・社会への負の影響を低減・回避するように努めます。

  • *1
    石炭火力発電の既存投融資の残高をゼロにするのは2037年度の予定

戦略 気候変動

人々の生活や事業活動の基盤である地球環境は気候変動により変化してきており、自然災害の激甚化や異常気象など、地域や企業の持続的な発展を脅かすようなさまざまな影響が顕在化しているなかで、脱炭素社会への移行に向けた動きが進んでいます。
脱炭素社会へ移行する過程において、カーボンニュートラルの実現に向けた各国の政策・規制の強化や気候変動を緩和するための技術革新、気候変動問題への関心度の高まりによる消費者・投資家の価値観の変化など、経済・社会環境には大きな変化が見込まれています。こうした変化は当社グループにリスクと機会をもたらすものと認識しており、気候変動に伴う脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響を検証するとともに、それらのリスクと機会に対処すべく、気候変動への対応に係る戦略を策定し取り組みを進めています。

①リスク(気候変動)

気候変動に関するリスクの把握

気候変動に関するリスクとして、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と自然災害の激甚化や異常気象などに伴う物理的な被害が生じるリスク(物理的リスク)の2つのリスクがあり、当社グループは、TCFDの提言に沿ったリスクの把握・評価に取り組んでいます。当社グループが分類・管理している「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナルリスク」、「レピュテーショナルリスク」の区分で移行リスクおよび物理的リスクを整理すると以下のとおりです。

炭素関連資産

当社グループは、気候変動リスクを把握する取り組みの1つとして、TCFD提言を踏まえた炭素関連資産*1の貸出金残高を算定しています。2026年3月末基準の算定結果は右表のとおりです。
なお当社グループでは炭素関連資産とは別に、2021年度より気候変動の影響が大きいと認識した8つの業種を炭素関連セクター*2と定義し、モニタリングをおこなっています。当該セクターにおける2026年3月末基準の与信残高が全セクター向け貸出金総計に占めるシェアは、2024年度と同水準の2.2%となりました。今後も炭素関連セクターへのエンゲージメントを通じて気候変動の影響についてモニタリングをおこない、分析の高度化をはかるとともに、リスク管理をおこなっていきます。

気候変動によるシナリオ分析

当社グループは、気候変動が及ぼす投融資ポートフォリオへの影響度合いを把握するため、移行リスクおよび物理的リスクについてシナリオ分析を実施しています。2026年3月末基準の分析結果は以下のとおりです。
移行リスクについては、炭素税の導入、電源構成の変化に伴うエネルギーコストの増加、GHG排出量規制に伴う設備投資等の支出面への影響を考慮しています。また脱炭素社会を背景とした需給変動のもとでは生産量、価格の変化も見込まれることから、収入面の影響についても考慮し、両側面から貸出先の財務に与える影響を分析しています。なお分析対象セクターは、前年度までに実施している「電力」、「自動車」、「自動車関連」*1、「鉄鋼」、「運輸」*2、「化学」に加え、今年度は「非鉄金属」セクターを追加しており、これによって当社グループにとって移行リスクが大きいと認識しているセクターの大部分が分析対象となりました。
物理的リスクについては、異常気象によって深刻化する洪水災害が急性リスクとして甚大であるため、投融資ポートフォリオへの影響把握の優先度が高いと認識し、分析対象としています。また、当社グループの営業地盤である神奈川県および東京都を中心に、分析する各地点の位置情報精緻化を進めるなど、分析の高度化に努めています。
分析結果については、移行リスクの与信関係費用*3は508億円*4 ~ 1,130億円*5、物理的リスクの与信関係費用は211億円~ 562億円の推計となりました。今後もシナリオ分析の高度化に取り組むとともに、お客さまとのエンゲージメントを通じた脱炭素支援の取り組みにより、当該リスクの低減をはかっていきます。

  • *1
    「自動車関連」セクター:自動車部品、ガソリンスタンドなど
  • *2
    「運輸」セクター:海運、空運、鉄道輸送、トラックサービスなど
  • *3
    現行の気候変動政策が継続されると想定したCurrent Policiesシナリオと、より厳しい気候変動政策等が実施されると想定したシナリオとの差額により算出
  • *4
    地球温暖化を2℃未満に抑えることをめざすBelow2℃シナリオとの差額(Below2℃シナリオ:2,014億円-Current Policiesシナリオ:1,507億円)
  • *5
    2050年に世界全体でネットゼロを達成するNet Zero2050シナリオとの差額(Net Zero2050シナリオ:2,636億円-Current Policiesシナリオ:1,507億円)

②機会(気候変動)

投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量の算定

当社グループは金融機関として、投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量ネットゼロの実現を通じて、脱炭素社会の実現に貢献するため、投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・開示に係る取り組みを進める国際イニシアティブPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟するとともに、PCAFの定める基準(以下、PCAF算定基準)にもとづき、事業貸出を中心に投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(Financed Emissions)を算定しています。また、当社グループはGXフューチャー・リーグ※参画企業として、自らの排出量削減に取り組むとともに、サプライチェーンの脱炭素に向けた取り組みを支援するため、賛同企業との対話やルールメイキングの議論などに関与しています。
今後も、当社グループはカーボンニュートラルの実現に向け、気候変動をはじめとする環境と経済および社会の好循環に貢献していきます。

  • *
    業種・業態・排出量の多寡にかかわらず、官・民・金が連携し、GX需要創出とサプライチェーンでの排出削減の実現および円滑なGX資金の供給に向けて意欲的に取り組むイニシアチブ。

投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロに向けたお客さまとのエンゲージメント

投融資ポートフォリオのGHG排出量の算定結果を受けて、ネットゼロに向けたお客さまのGHG排出量削減を支援するためのアクションプランを策定しました。具体的な内容は以下のとおりです。

1. すべてのセクター

当社グループでは、「SDGs事業性評価」*1および「脱炭素事業性評価」*2を活用し、お客さまとエンゲージメントをおこない、脱炭素含めサステナビリティに係る経営課題を整理・共有しています。引き続き当社グループはエンゲージメントを通じて、お客さまの脱炭素をはじめとした経営課題に対して最適なソリューションを提供し、サステナビリティ経営を支援していきます。

  • *1
    「事業性評価」に、SDGsに関する項目を加えてスコアリングし、戦略立案や施策提案につなげる取り組み
  • *2
    お客さまの脱炭素に関する経営課題に特化した「事業性評価」
お客さまの取り組みフェーズに応じた最適なソリューションの提供

当社グループは、お客さまとのエンゲージメントを通じて、移行リスクや物理的リスクの低減、成長機会拡大のための課題を共有したうえで、お客さまの課題解決に資するソリューションラインアップの充実をはかるとともに、お客さまごとの取組状況に応じた最適なソリューションを提供していくことが重要であると認識しています。お客さまの脱炭素経営における取り組みフェーズに応じた当社グループのおもな支援内容は以下のとおりです。

中堅・中小企業向けのサステナブルファイナンスの拡充

中堅・中小企業のお客さまにとって、外部評価の個別取得を要する高度なサステナブルファイナンスは、外部評価取得に伴うコストや実務負担が大きく、資金調達手法として活用が進みにくい状況にあります。このような課題に対応するため、横浜銀行では、銀行がフレームワークを策定し外部評価を取得することで、お客さまによる外部評価取得の負担を軽減したサステナブルファイナンスを提供しています。2024年度には「融資」と「マテリアリティ特定コンサルティング」を組み合わせた「〈はまぎん〉マテリアリティ・サポートロ ー ン 」を 、2025年 度 に は「 GHG排出量の算定・報告」および「SBT認定取得」の達成状況に応じて適用金利が変動する「〈はまぎん〉サステナビリティ・リンク・ローン フレームワーク型」の取り扱いを開始しました。引き続き、サステナブルファイナンスやコンサルティングの提供を通じて、中堅・中小企業のお客さまのサステナビリティ経営を支援していきます。

2. GHG排出量削減の目標設定セクター

「電力」、「石炭」、「石油・ガス」セクターは当社グループのポートフォリオにおいて、炭素強度が高いため、これら3セクターを「 GHG排出量削減の目標設定セクター」に選定し、2030年度中間目標を設定しています。引き続き、個社ごとのきめ細かいエンゲージメントを通じてGHG排出量の可視化・削減を支援していきます。

3. エンゲージメント重点セクター

「自動車・部品」セクターは移行リスクのシナリオ分析や自動車業界の見通しに関するエンゲージメントを先行して実施してきたセクターであり、サプライチェーンの裾野が広く、脱炭素に向けた取り組みに長期間を要することが見込まれることから、2022年度より「エンゲージメント重点セクター」に選定しています。さらに、「金属・鉱業」セクターは製鉄業や金属製品、非鉄金属製品の製造業が含まれ、製品の製造過程において熱や電気などのエネルギーを多く使用する特性から、GHG排出量が比較的大きなセクターであるため、2023年度より「エンゲージメント重点セクター」に追加しています。
これらのセクターを対象としたエンゲージメントとして、お客さまの脱炭素経営における外部環境や取り組みについてヒアリングをおこない、状況の把握に取り組んでいます。2025年度において、両セクターの対象企業のうち、GHG排出量の可視化・削減を課題としている企業は約4割に達しており、今後もお客さまのサプライチェーン企業等からの脱炭素への取り組みの要請拡大が見込まれることから、GHG排出量の可視化、削減目標の策定など、状況に応じてお客さまの取組支援を継続的に実施します。

おもなサステナブルファイナンスのラインアップ
(左右にスワイプできます)
取扱金融機関 商品 お客さまのニーズ
横浜銀行 資金使途を環境改善等に限定し、対外的に発信したい
総合的なサステナビリティの取り組みを対外的に発信したい
中堅・中小企業のお客さまで脱炭素経営の取り組みを対外的に発信したい
事業が環境や社会に与えるインパクトを評価し、取り組みを対外的に発信したい
具体的な施策・KPIを設定し、SDGsを事業に取り入れたい
震災対策としてBCPを強化したい
神奈川県内の地方公共団体に提出している温暖化対策計画書を活用したい
SDGs関連団体への寄付を通じて社会課題の解決へ貢献したい、カーボンオフセットを通じて自社の排出量を削減したい
マテリアリティを特定し、サステナビリティ経営のステップを向上させたい
神奈川県内の自動車部品サプライヤーとして、CASE(※2)・カーボンニュートラルに対応したい
生物多様性保全の取り組みへの寄付を通じて社会課題の解決へ貢献したい
東日本銀行 事業活動とSDGsの紐付けをおこない、SDGsを事業に取り入れたい
具体的な施策・KPIを設定し、SDGsを事業に取り入れたい
SDGs関連団体への寄付を通じて社会課題の解決へ貢献したい、カーボンオフセットを通じて自社の排出量を削減したい
神奈川銀行 事業活動とSDGsの紐付けをおこない、SDGsを事業に取り入れたい
  • *1
    当社グループは、気候変動やエネルギー使用量の削減に関わる公共政策を支持します。例えば、地方公共団体による「事業活動温暖化対策計画書制度」に賛同し本制度にもとづく取り組みを推進するため、具体的なアクションとして、神奈川県と連携のうえ「事業活動温暖化対策・リンク・ローン」の取り組みを実施し、温室効果ガスの排出量削減に取り組むお客さまを支援しています。
  • *2
    Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化) の頭文字をとって作られた今後の新しい車の開発の軸となる考え方です。

お客さまのサステナビリティ経営支援の担い手となる人財の育成

当社グループでは、社内のサステナビリティに関するリテラシー向上を目的として、2024年度より横浜銀行の各営業店に「サステナアンバサダー」を設置しています。各アンバサダーが本部・営業店間および営業店同士の情報連携のハブとなり、各営業店内でサステナビリティに関する従業員の意識醸成や提案力強化に関する施策の実施等を通じて、営業拠点全体でお客さまのサステナビリティ経営への取り組みに伴走しています。

指標と目標 気候変動

当社グループは、地域に根ざす金融機関として、地域の脱炭素を先導する役割を担うことが責務であると認識しています。このような認識のもと、「環境の保全・保護」をマテリアリティと位置づけ、「サステナビリティ長期KPI」(2030年度までの目標)として、サステナブルファイナンス、環境分野ファイナンスの実行額(累計)目標、自社の事業活動におけるGHG排出量の削減目標を設定しています。また、地域のお客さまの脱炭素を積極的に推し進めるために、投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量の2050年ネットゼロ目標および「電力」、「石油・ガス」、「石炭」セクターにおける2030年度中間目標を設定しています。
なお、GHG排出量の実績値については、Scope1.2およびScope3カテゴリ1~15まで算定しており、そのもととなるエネルギー使用量とGHG排出量の算定結果は日本品質保証機構による第三者検証を受けています。引き続き算定手法の高度化、精緻化に努めていきます。。

サステナブルファイナンス・環境分野ファイナンス

サステナブルファイナンス実行額(累計)の2025年度実績は3.3兆円、うち環境分野ファイナンスは1.1兆円となりました。
お客さまにおいては、脱炭素に向けた設備投資の増加等に伴う資金需要の高まりに加え、新たな金融商品・サービス等のニーズが生じています。引き続き、お客さまの課題解決に資するソリューションラインアップの充実をはかるとともに、お客さまのニーズに合わせた最適なソリューションの提供により、目標達成に向けた取り組みを進めていきます。

自らの事業活動におけるGHG排出量

当社グループの事業活動におけるGHG排出量(Scope1および2)の2025年度(※1)実績は3,505t-CO2であり、2013年度(※2)比で88%削減しました。当社グループでは、省エネ設備の導入や自社契約電力の実質再生可能エネルギーへの変更等のほか、自社所有物件への太陽光発電所の設置など、目標達成に向けた取り組みを進めています。

  • ※1
    当社および当社連結子会社の国内拠点の合算。
  • ※2
    横浜銀行、東日本銀行、神奈川銀行、浜銀TT証券の合算。

投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(GHG排出量削減の目標設定セクター)

GHG排出量削減の目標設定セクター(「電力」、「石油・ガス」、「石炭」セクター)の2024年度実績について、「電力」セクターでは、国内での火力発電所の運転開始等を主因に、排出原単位は前年度比上昇しているものの、目標レンジ内で推移しています。また、「石油・ガス」セクターでは、算定対象先への貸出残高の減少により、排出量は前年度比で減少しています。
当社グループでは、「セクターポリシー」の特定セクターに「石炭火力発電」、「炭鉱採掘」、「石油・ガス採掘」を選定し、慎重に取引を判断することを定めるとともに、GHG排出量削減の目標設定セクターのお客さまに対しては、個社ごとのきめ細かいエンゲージメントを通じて、お客さまのGHG排出量の可視化・削減の支援に取り組んでいます。
引き続き、お客さまとの丁寧なエンゲージメントを起点とした最適なソリューションの提供を通じ、お客さまの脱炭素に向けた取り組みを支援していきます。

戦略/指標と目標 自然関連

人々の生活や企業の事業活動は、水・大気・土壌・動植物といった自然資本に「依存」し「影響」を及ぼしています。企業の事業活動では、商取引における上流・下流のバリューチェーン全体で、自然資本に「依存」し「影響」を及ぼしているため、自然資本への対応にあたっては、自らの事業活動とバリューチェーン全体の両面を考慮する必要があると認識しています。
金融機関においては、自社の事業活動(おもに各拠点での営業活動)だけではなく、投融資活動を通じてお客さまやそのサプライチェーンの活動とつながりを持っています。当社グループにおいても、自社の事業活動における自然資本との関係性を整理することに加え、投融資活動を通じたお客さまの自然資本への「依存」や「影響」を把握し、リスクを適切に管理するとともに、自然資本関連の金融商品やサービスを提供することで、ビジネス機会の獲得につなげるなどの取り組みを進めています。

環境課題の相互のつながり

環境課題は相互に密接に関わり合っており、統合的に対処することが重要であると認識しています。そのため、「自然関連の取り組み」を個別に捉えるのではなく、「気候変動への対応」や「循環経済への移行」との相互関係を踏まえ、トレードオフの回避に努めながら、相乗効果(シナジー)の創出につながる取り組みを推進しています。

自然関連のリスクの把握

当社グループでは、事業活動と自然資本との関係性を把握するため、まずは、「依存」と「影響」の観点から一般的なお客さまの自然関連のリスクを整理しました。なお、整理したリスク認識は現時点での分析を踏まえた初期的なものであり、今後、お客さまの自然資本への「依存」や「影響」を深く理解し、当社グループに想定されるリスク事象をより正確に把握することにより、リスク認識を深めていきます。

投融資ポートフォリオにおける依存と影響の分析

当社グループでは、投融資活動を通じた自然資本との関係性を把握するため、「ENCORE」*1を活用し、各セクターの自然資本への依存と影響の分析をおこないました*2。分析の結果、セクター横断的に「水」に関する生態系サービスへの依存度が高く、また、「水の使用」や「大気の汚染」などによる自然資本への影響度が高いことがわかりました。また、依存度や影響度が特に高く、当社グループのポートフォリオ上のウェイトが大きい「素材」「食品・飲料」セクターなど、優先的に対応が必要なセクター(優先セクター)の絞り込みをおこないました。
今後、対象セクターとのリレーションや地域における重要性などを踏まえ、優先セクターにおける分析の深掘り(バリューチェーン分析やロケーション分析等)や自然関連のリスクと機会の評価を実施し、当社グループにとってのリスクと機会の特定を進めていきます。

  • *1
    特定の経済活動における自然への依存度や影響度の高さを把握するためのツール
  • *2
    ポートフォリオ全体を対象に分析し、TNFDの金融機関向けガイダンス等を参考に、上表では特に依存度や影響度が高いセクターの分析結果を記載
  • *3
    投融資額全体(2025年3月末基準)に占める割合(大:3%超、中:1%~3%、小:1%未満)

投融資活動を通じた自然関連の取り組み

当社グループでは、投融資活動を通じた自然資本との関係性を把握するため、お客さまの事業における自然資本への依存度および影響度の分析を進めています。「ENCORE」*1を活用した分析の結果では、セクター横断的に水資源への依存度・影響度が高いことが確認され、あわせて優先的に対応が必要なセクター(優先セクター)の絞り込みをおこないました。
これらの結果を踏まえ、横浜銀行の投融資先のうち、自然資本への依存度・影響度の高さに加え、当社グループのポートフォリオにおける構成比や脱炭素に関するエンゲージメントの実施状況などを総合的に勘案し、「食品・飲料」、「自動車・自動車部品」、「金属・鉱業」セクターのお客さまを対象に自然資本に関するアンケート調査を実施しました。
今後は、アンケートの分析結果を活用し、お客さまのネイチャーポジティブ*2の実現に向けた取り組みを支援する最適なソリューションの提供をすすめていきます。

アンケート結果① ~お客さまの課題やニーズの把握~

「自然の保全」に取り組むうえでの課題として、「人員・予算」、「知識・専門性」の不足のほか、他の経営課題を優先しているという回答が上位を占めており、体制整備に向けたリソース不足、専門性の確保、経営上の優先順位付けが主要なボトルネックとなっていることが示唆されます。また、必要な支援や情報としては、成功事例に加え、補助金情報やガイドラインなど、具体的な実行方法や費用負担の軽減策に関する情報が求められていることがうかがえます。

アンケート結果② ~お客さまの事業と自然資本との関わりの把握~

3セクターいずれにおいても、自社事業の操業と直接的に関係する自然資本ほど、依存度・影響度に関する認識が高い傾向がみられます。一方で、事業との関係が間接的またはサプライチェーン上流で顕在化しやすい自然資本については、セクター間で認識に差がみられます。なお、「ENCORE」*1との比較では、アンケート回答における水に関する依存・影響の認識が「ENCORE」*1上の評価を上回っており、回答企業が操業上の実感として水リスクを強く捉えている可能性が示唆されます。

自らの事業活動における自然関連の取り組み

当社グループは、グループ環境方針にもとづき、省資源・省エネルギーの推進や廃棄物のリサイクルなどを通じて、環境負荷の低減に努めています。横浜銀行、東日本銀行、および神奈川銀行では、紙・廃プラスチック・廃棄物のリサイクル率、紙のグリーン購入比率、エネルギー使用量の削減率に関する目標を設定し、環境負荷の低減に取り組んでいます。あわせて、地方公共団体などと連携し、地域の自然資本の保全・回復に資する活動や、循環経済への移行に向けた取り組みも推進しています。
また、横浜銀行は、2027年に横浜市で開催される2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)への協賛を通じて、持続可能な地域社会の発展への貢献をめざしています。